導入目的
阪神大震災、新潟県中越沖地震、能登半島地震、熊本地震、東日本大震災と、自然災害の恐怖は身近な問題となっており、防災対策の構築は社会的にも喫緊の課題となっております。
また、地球温暖化による環境問題も顕著になってきており、化石燃料を取扱致しております弊社としても、何らかの対策を講じる必要性を感じ、震災時の防災対策および環境問題対策のため、岩国市立石町に、山口県東部では初となる「太陽光発電システムによる災害・環境対応型給油所」としての設備を完備し、“スーパー・エコ・ステーション立石”と命名・オープンし、現在に至ります。
「災害対応型給油所」につきましては、阪神大震災時に1週間以上の停電によりガソリン給油所の機能が停止し、燃料切れにより消防活動や人命救助、災害復旧にあたる消防車、救急車、警察車両等の緊急車両が活動不能となり、2次被害を拡大させた検証をもとに、平成8年「災害対応型給油所普及事業」が経済産業省の外局である資源エネルギー庁により創設され、現在、全国石油商業組合連合会様を窓口として設備費の補助事業が行われています。
この国の事業に協力し、災害時においても緊急車両等へ石油製品を安定的に供給することは、日頃地域の皆様にお世話になっている石油販売業者としての社会的責任を果たせる一つの道ではないかと考えております。
また、太陽光発電システムを用いて平常時から環境負荷の少ない電気を使用することで、「災害に強く、かつ環境にやさしい給油所」を目指していきたいと考えています。
システム概要
太陽電池モジュールで発生した電気は、まず蓄電池に蓄えられ、蓄電池が満タンになると、給油所内の電気として使用し、環境にやさしい「エコ・ガソリンスタンド」となっています。
災害時等の停電時には、昼間は太陽光発電によって、また夜間は蓄電池に蓄えられた電気によって計量機③(南から3台目)を1台稼動させ、給油を行う事が出来ます。
バックアップとして設置しているディーゼル発電機で、別の2台の計量機①・②(南から1・2台目)を稼動させ給油を、また、受水槽ポンプまたは井戸ポンプを稼動させ、給水やトイレの使用が出来ます。
当給油所では、災害時に太陽光発電・蓄電池システムにより1台、ディーゼル発電機により2台の計量機を稼動させ、給油する事が出来るシステムを構築しています。
(※ただし、太陽光発電・蓄電池システムとディーゼル発電機の同時使用は出来ません。)
導入システム・設備について
◎システムについて
太陽電池モジュールで発生した電気は、充放電制御盤を通して蓄電池に入り、満タンになるとパワーコンディショナで直流の電気を交流の電気に変換し、給油所内へ供給(使用)致します。
非常時(停電時)には、昼間は太陽光発電からの電力で計量機を稼動させ、夜間は蓄電池内に蓄えられた電力やディーゼル発電機で発電した電力で計量機を稼動させます。
A.太陽電池モジュール(京セラ製)
キャノピー屋上に京セラ製太陽電池モジュール(公称出力178.6W/1枚)を60枚、合計発電容量10.7kWを設置しています。太陽からの日射を受けると、直流の電気が発生します。
B.パワーコンディショナ(京セラ製)
太陽電池モジュールで発生した「直流の電気」を「交流の電気」に変換する装置です。
C.充放電制御盤(京セラ製)
太陽電池モジュールで発生した電気を、蓄電池の電気量が減っている時は充電し、満タン時には給油所内へ供給するよう制御する装置です。
D.蓄電池収納盤(新神戸電機製)
太陽電池モジュールで発生した電気を蓄える蓄電池を収納する収納盤で、6V・100Aのシールド型蓄電池を48個収納しています。
E.表示装置(京セラ製)
簡単なシステム概要と現在の太陽光発電量、本日の累計発電量を表示し、お客様に「環境にやさしいSS」を理解していただく装置です。
F.非常用切替盤(河村電器産業製)
災害時(停電時)に商用電源から太陽光発電・蓄電池システム、あるいはディーゼル発電のシステムへ切替え、計量機や給油所内の電灯へ電気を送るようにする装置です。
G.ディーゼル発電機(新ダイワ工業製)
軽油を燃料とした内燃機関発電機で、夜間あるいは蓄電池の電気がなくなった場合、バックアップ電源として使用し、計量機を稼動させます。新ダイワ工業製の「超低騒音」の20kW(25kVA)機を使用しています。
H.井戸ポンプおよび受水槽ポンプ
災害時(停電時)、ディーゼル発電機稼動時に受水槽ポンプまたは井戸ポンプへ配電するよう配線しています。そのため、監視員室横のトイレの使用や、近隣住民の皆様に「生活用水」として使っていただけるようになっています。